来院までの経緯
慢性的な首肩こりがあり、年始ごろから肩が痛みが出るようになり、次第に左肩が上げづらいようになった。その際に、整形外科を受診し、左肩関節周囲炎と診断された。3か月間整形外科にてリハビリを行うも、思っていたより改善が見られなかったため、今回来院に至った。
検査と所見
- 肩関節可動域は屈曲・外転50度ほど、内旋や外旋等ほかの動きも減少傾向
- 肩関節動作時に肩甲骨と上腕骨が癒着しているように動く
- 滑液包の圧痛が強い
- 神経的な障害、血行障害も見られない
- 脊柱可動域は全体的に低下傾向
- 姿勢はアッパークロスのような巻き肩が見られる
施術の経過
まず初回は、滑液包の圧痛が強いことから、肩甲骨の安定させることとアウターの大きい筋群を使わせないようにホームエクササイズの指導の両面で施術を行った。2回目以降は引き続き、肩甲骨の安定化を図りつつ、アウターの大きい筋群の圧痛を見ながら緊張を緩和するように筋操作を行う。すると、徐々に肩関節の可動域の改善がみられてきたので、滑液包も筋肉と同様に緊張の緩和操作を行った。週一回のペースで3か月集中的に施術を行った結果、肩を痛める前の可動域に戻り、症状を感じることも少なくなった。現在はメンテナンス目的で、月に1回程度のペースで来院中。
肩関節についての考察
肩関節は上腕骨の上腕骨頭を中心とした球関節で肩甲骨の関節窩に寄りかかるような構造になっています。
関節窩にしっかりハマっているような構造ではないため、その周囲を筋肉によって覆うことで、高い可動性と合わせて重いものを持ったり筋力を発揮することができます。
その覆っている筋肉には大きく分けるとインナーマッスルとアウターマッスルの2つがあります。インナーマッスルは肩関節の安定と上腕骨頭を関節窩の中で滑らかに回すことが主な役割になります。アウターマッスルは三角筋に代表されるような大きい筋群でものを持ったりするときに筋力を発揮する役割です。この関係性があるおかげで肩が働いてくれているわけです。
この2つの関係性が崩れてしまうと、今回紹介したような肩関節の症状につながってしまいます。
主にデスクワークのようなパソコンを使った作業をしたりすると猫背や巻き肩のような肩を前に巻き込むような姿勢になりやすく、肩甲骨と上腕骨のバランスの崩れからインナーマッスルとアウターマッスルの関係性が崩れやすくなります。
案外軽く見られがちな猫背や巻き肩ですが、今回紹介した肩関節の症状やそのほかの症状につながりやすいので、日ごろからケアしてあげる習慣があると事前に防げるケースも増えます。是非お近くの専門家に相談してケアしてもらうのがよいでしょう。