頚椎ヘルニアと右腕が痛む(30代男性)

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来院までの経緯

春ごろから右腕全体に痛みとだるさを感じるようになった。思い当たるきっかけはなかったため、整形外科を受診し、頚椎の4番・5番のヘルニアと診断される。痛み止めや筋弛緩剤を処方されるも症状に変化が見られなかった。痛みは朝方は比較的楽だが、仕事終わりから就寝時にかけて痛みが増してくる。

検査と所見

  • 頚部の屈曲・左側屈・左回旋で右腕の痛みが強くなる
  • wright test (±)脈の減弱あり
  • adson test (+)
  • distraction test  (-)
  • 右大胸筋、小胸筋、肩甲下筋、斜角筋に緊張と圧痛あり
  • 胸椎と肩甲胸郭関節の可動性低下傾向

施術と経過

頚椎椎間板ヘルニアと整形外科から診断されているため、椎間板に圧迫方向へストレスがかからないように考慮しながら施術を行う。まずは、症状を誘発しないよう気を付けながら、仰臥位で緊張と圧痛の見られた筋群のリリースを行う。緊張緩和と頚部可動域の増加を確認後、伏臥位にて胸椎・胸郭のモビライゼーションを行った。初回施術後、wright test(-)に、adson testは(+)ながら検査時より痛みの程度は下がっているようだった。2回目の施術では、就寝時の痛みはなく、頚部屈曲ではまだ痛みが出るものの、wright test,adson testはいずれも(-)だった。筋の緊張も緩和が見られていたため、その中でも残る大胸筋や小胸筋のリリースを行った後、胸椎・胸郭のモビライゼーションを再度行い、体の状態を維持・向上させるためホームエクササイズを指導した。

今回のケースについて考察

このケースでは、頚椎椎間板ヘルニアにくわえて、末梢神経の絞扼が疑われました。上半身での絞扼は主に胸郭出口症候群、肩甲上神経絞扼などが多い印象です。今回のケースでは胸郭出口症候群が併発していたように思います。この障害は首から伸びる神経や動脈、静脈を絞扼することで腕に痛みやしびれ、冷えなどを引き起こします。そして、絞扼が起こるポイントが一か所ではなく、斜角筋や小胸筋下、肋骨と鎖骨の間と様々なポイントで絞扼が起こりやすい障害です。今回のケースでは、前斜角筋と中斜角筋、小胸筋下で絞扼が見られました。

こういった絞扼を引き起こしやすい体の問題として挙げられるのが、肩甲骨の機能低下があります。基本現代人にとって、巻き肩といわれる姿勢は珍しいものではなく、一般的なのですが、これを放置しておくと肩甲骨の機能低下と絞扼などの症状の温床になりかねません。巻き肩が起きていると猫背のように背中が丸まっていることも考えられ、そうなると首だけ起こすような姿勢になるので、ストレートネックや頚椎ヘルニアなども引き起こしかねません。

今回のケースは斜角筋と小胸筋下で絞扼を起こす、いわゆる「ダブルクラッシュ」という状態と合わせて、頚椎ヘルニアと診断されるとてもおつらい症状でした。頚椎椎間板ヘルニアや変形性疾患と診断された方でもこの絞扼障害を取り除く施術で改善した例も少なくありません。ただ、整形外科でしっかり診断してもらうべきですし、その後に原因が特定できないような症状ができている方は、この絞扼障害を疑ってみてもいいかもしれません。

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