「長年左足のアキレス腱が痛い」(30代女性)

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来院までの経緯

10年ほど前から左足のアキレス腱の痛みに悩まされてきた。歩いていると痛くなるので、足をまっすぐにして歩きづらく、内股にして歩きたくなる。そのほかにも、外反母趾や足裏のタコがあり、タコに関しては痛みもある。仕事中は足もむくみ、左足もも裏と腰も張りやすくなる。

検査と所見

  • 左足距腿関節A→P方向に制限
  • 左足立方骨の下方変異
  • 下腿の組織上の問題なし
  • 筋力検査では股関節屈筋と腹斜筋に弱化あり
  • 骨盤後傾傾向あり

施術と経過

痛みのあるアキレス腱や下腿には筋肉の緊張は多少あるものの顕著な異常と圧痛は見られなかった。検査では、足関節と骨盤にアライメントの崩れが見られ、股関節や体幹の筋肉に筋力の弱化が見られた。運動連鎖の崩れにより症状を引き起こしていると考え施術を行う。初回は、運動連鎖の修正とアライメントの崩れを調整することを中心に施術を行い、ホームエクササイズの指導も併せて行った。施術後、歩行時の痛みや違和感はあまりなかったため、経過を確認するため、2週間後に再度来院していただく。2回目の施術の際も違和感や痛みは出ておらず、初回と同様に連鎖や筋力をチェックしながら施術を行う。現在は、再発防止のため、ホームエクササイズの指導を中心に筋力低下の見られやすい箇所の修正と連鎖が崩れないかチェックを1か月に1度のペースで行っている。

足関節周りの症状についての考察

最近では高性能な靴が様々なメーカーから発売されるようになった影響で、人間が本来持っているはずの足関節の機能があまり使われなくなった印象があります。特にみられるものが浮指で、指の力を使えていない方が非常に多いです。指が使えていない方は、足裏のメカノレセプターという固有感覚が働きづらくなるので、運動するときに「どうやって筋力をつかうか、バランスをとるか」といった感覚が鈍くなります。そこからの姿勢や運動連鎖の崩れが引き起こされがちです。

今回のケースでも指の弱さが見られていたため、ホームエクササイズで指を使うためのトレーニングをやっていただきました。歩くや走るといった運動時に起こる痛みを施術するうえでは、アライメントの崩れや静的な状態での異常を調整しても取り切れないことが多いです。重要になるのが運動連鎖に代表される動的な指標とメカノレセプターなどの感覚入力を合わせて調整することだと思います。

足の指を使うことはセルフケアとして非常に有効なものです。ソールの厚い靴やヒールを履いている方は指の機能が低下しがちな方が多いので、指の力だけで地面をつかんで前に進む指歩きのようなトレーニングを行うことをお勧めします。

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